御社の特許戦略がダメな理由
- 作者: 長谷川曉司
- 出版社/メーカー: 中経出版
- 発売日: 2010/03/24
- メディア: 単行本
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事業の成否に影響を及ぼすのにも関わらず、特許戦略について漫然と考えていたがために「負けた」実例を具体的に3つ挙げており、全編それを軸として論点を提示
第1章 漫然とした特許出願による大損失
具体的な例として「権利範囲が狭かったため、他社の参入を許した例」「特許網の不備をつかれ、後発の競合他社に負けた例」「重要顧客の関係会社が、自社の特許をもとに製品化した例」が掲載
第2章「攻めの特許戦略」が大利益を生む
「守る」より「攻め」であると強調、また「知的創造サイクル」と「特許戦略」の関係について説明
「知的創造サイクル」とは「創造」→「保護」→「活用」のサイクルのこと。特許戦略はこのサイクルと関係が深いとの説明。
第3章 強い排他力が絶対条件
特許戦略の目的の明確化を、競合他社の技術が予測可能/不可能の場合に分けて説明
「三位一体の議論」「発明の本質の議論」など、具体的にやるべきことを提示
結びに「強い排他力は新しいブレークスルーを生む」。
第4章 「経営戦略」という視点で特許を見る
旧日本軍の失敗例が登場。
事業部門、知的財産部門、研究開発部門の三位一体、特許戦略の目的の明確化の重要性を訴える。
戦略立案の議論の重点は4項目としている。
1.他社との競争状況、2.自社技術の特徴、3.他社の技術、4.自社の技術に類似する範囲の考察
特許の事業的・経済的に価値にも触れている。「特許の排他力による利益の増大・利益低下の防止」の図(p.249)など。
第5章 勝つために「特許戦略会議」を開こう
第1~4章で述べてきた論点を活かしたらどうなるか、ケースで説明。
三位一体の「特許戦略会議」が開かれ、方針を決めていく流れを説明。
p.305のプロセス図では、特許網のかけ方の例が記載されている。
[感想]
企業によっては、クリティカルな事象であるため、改革が必要な分野の1つであると認識。特許戦略そのものの良し悪し以前に、事実・情報に基づいた経営の重要事項の見極めとその改革の論点がクリアに認識出来るかの問題と認識。